硝子の靴 ～夜帝の紅い薔薇～少女Ａ～

「異議は、ない？結婚は、議会じゃないのよ。義務的にするものでもない。私は、そう思ってる。言われたとおりにするとか、他の人が決めるなんて納得いかないとか、思わないの？」

「日和さんは、どうやら不満のようだね」

「え？、…」

「そっか。女性だしね、やっぱり、夢見るよね。結婚だもんね」

私は、目を落とす。

「日和さん、好きな人がいるんだね」

彼は、そう言うと、微笑んだ。

こういう笑顔をするのかと、初めて見た彼の笑顔に、私は、彼の言葉に目を丸くしながら、言葉を失うほどだった。

今まで、いつも、私を見る彼の目は、鋭くて、偉そうで、怖かったから………