硝子の靴 ~夜帝の紅い薔薇~少女A~
そんな、和やかな雰囲気を見ながら、私は、だんだんと楽しくなってきて、パーティーっていいものだなぁと、感じていた。

そして、『おめでとう』と言われると嬉しいものだと、喜びを噛みしめていた。

私は、嬉しい気持ちで、和やかな雰囲気を眺める。


「日和、おめでとう」

父が、シャンパングラスを手に、私に言葉をかけた。

「有難うございます、お父さん」

父は、優しく頷きながら、シャンパングラスを私に手渡した。

「おめでとう、日和」

母は、言葉をかけながら、箸と白い皿を、私に手渡した。

「有難うございます、お母さん」

母は、優しく微笑んだ。

「お腹すいたでしょ。ほら、日和の好きなものばかりよ」

「わぁ…美味しそう」

私は、うきうきして、目移りしそうになりながら、料理を選んだ。


玄関の音楽が鳴り響いている。

我が家は、玄関を人が通る度に、音楽が静かに流れるようにしている。

「すいませーん」

「あら?誰かしら。呼んでるみたいね。はーい」

母は、玄関へと向かった。

私は、再び、並べられた沢山の料理に目移りさせながら、心を踊らせていた。
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