硝子の靴 ~夜帝の紅い薔薇~少女A~
「薔薇を貰うと、その人から想われてるの?」

「そうじゃない?
私も、よくわかんないけど。花言葉があるらしいし、男性が女性に薔薇を贈るなんて、特別でしょう。そう考えたら、貰って嬉しい場合はいいけど、逆の場合は困るね。
贈る方も、勘違いされたら困るだろうから、嫌いな人とか、何とも思っていない人には、贈らないだろうけど。
プレイボーイな人は、いっぱい贈るのかな。
あっ、中には、そんなキザなこと、できるかっていう男性もいるんだって」

「へぇ。そうなんだ」

「うん」

私達は、顔を見合わせて笑った。

「それにしても、綺麗ね」

「うん」

「この人も、恥ずかしいのを我慢して、日和に贈ったのかもしれないよ」

「うん」

「凄いなぁ。赤い薔薇の贈り物かぁ。大人の恋みたい」

「そんなんじゃないよ」

「赤い薔薇は、愛情、だったかな。花言葉。他にも意味があるのかな、わかんないけど。色によって、意味があるんだよね」

【…愛情……】

私は、心の中で呟きながら、薔薇を見つめていた。

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