硝子の靴 ~夜帝の紅い薔薇~少女A~
車は、間もなく、彼の会社の地下駐車場に着いた。
彼は、エンジンを切り車を降りると、私の座っている後ろのドアを開けた。
私は、降りずにいた。頭では、彼がそう言うのだから、仕方のないことだとわかっていたが、その意識とはうらはらに、私は、内心ではふてくされていた。
「着いたよ」
私が降りないので、彼は、声をかけた。
私は、黙ったままでいた。
ふてくされているのを、彼に気付かれたくない思いはあるのに、私は、車から降りずにいる。
うんざりされたなら、仕方ないと思った。
私は、15歳のまだまだ子どもなのだなと、落ち込みそうにもなった。
彼が、私の横でしゃがみ込んだ。
そして、私の顔を下から覗き込み、優しく声をかけた。
「日和に見せたいものがあるんだ。見てほしいんだ。来てくれないかな」
【日和、…って言った】
彼が、あまりに優しい声で言ってくれたので、私は、微笑んだ。
「笑ってくれたぁ。やっぱり、笑ってくれないと、不安になる」
彼は、安心した顔で、無邪気に笑った。
「来てくれる?」
私は、彼の問いかけに頷くと、車を降りて、彼についていった。
彼は、エンジンを切り車を降りると、私の座っている後ろのドアを開けた。
私は、降りずにいた。頭では、彼がそう言うのだから、仕方のないことだとわかっていたが、その意識とはうらはらに、私は、内心ではふてくされていた。
「着いたよ」
私が降りないので、彼は、声をかけた。
私は、黙ったままでいた。
ふてくされているのを、彼に気付かれたくない思いはあるのに、私は、車から降りずにいる。
うんざりされたなら、仕方ないと思った。
私は、15歳のまだまだ子どもなのだなと、落ち込みそうにもなった。
彼が、私の横でしゃがみ込んだ。
そして、私の顔を下から覗き込み、優しく声をかけた。
「日和に見せたいものがあるんだ。見てほしいんだ。来てくれないかな」
【日和、…って言った】
彼が、あまりに優しい声で言ってくれたので、私は、微笑んだ。
「笑ってくれたぁ。やっぱり、笑ってくれないと、不安になる」
彼は、安心した顔で、無邪気に笑った。
「来てくれる?」
私は、彼の問いかけに頷くと、車を降りて、彼についていった。