硝子の靴 ~夜帝の紅い薔薇~少女A~
エレベーターに乗って、最上階へ。

到着すると、速やかに扉が開いた。

「わぁ…」

扉が開き、目にした光景の、あまりの美しさに、言葉を失う。

ここへ来るのは二回目だが、やはり、この光景には、言葉を失う。

正面の壁一面のガラス張り。
大きなシャンデリア。
そして、散りばめられたゴールドの装飾。

差し込む夕日と夕方の景色は絶景で、昼間とはまた違った表情で、大きな絵画でも見ているようだった。

見とれている私の背中に、彼が、そっと、手を添えた。

エレベーターを背に、左に手を差し出しながら
「お姫さま、どうぞ、こちらへ」
と彼は言った。

私は小さく頷きながら、彼の言葉に、思わず笑う。
彼も笑った。

お店の両扉が、一斉に開いた。

私は、目を丸くする。

私は、彼の導きに足を進ませて、初めて、彼のお店へと入っていった。
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