硝子の靴 ～夜帝の紅い薔薇～少女Ａ～

「さぁ！パーティーの始まりだ！」

『イエーイ！』

彼の言葉に、従業員たちが、歓喜の声をあげる。

そして、沢山のクラッカーが鳴った。

私は、びっくりして、思わず両耳に手をあてがう。

沢山のクラッカーが弾かれて、次々に飛び出すカラフルなテープ。

そして、無邪気にはしゃぐ彼等を見て、私は、無邪気に笑った。

お店の中は、軽快な音楽が鳴り、お祭り騒ぎになった。

彼等は、踊ったり歌ったり、勢いよくシャンパンを開け、かけあったりして騒ぎまわる。

【楽しそう】

私は、そんな彼等を眺めて微笑みながら、シャンパンに口をつけた。

【それにしても、これ、美味しい】

我が家では、両親がよくパーティーを開いて、私は、小学生くらいから、お酒を口にした。おめでたい日だから、一口だけ飲みなさい、と、両親は言うのであった。

「無理して飲まなくていいからね」

七海 龍星が、私に言った。

「うん。これ、美味しい」

「おっ、飲める口？」

彼は、笑った。

「酒の入ってないシャンパンもあるからね」

「はい」

「冷蔵庫で冷やしてる。持って来ようか。あ、料理も食べて」

「はい」

彼は、アルコールの入っていないシャンパンを取りに行った。

私は、スペース一角の料理の置かれた所へ行く。

【わぁー、美味しそう】

私は、目を輝かせて、料理を見渡した。

傍では、従業員たちが、クラッカーを鳴らしたりして騒ぎまわる。

従業員同士の会話も聞こえて、飲み物を聞かれて１００パーセントジュースと答えたり、歌うのを迫られて泣き笑い顔で嫌がって表情を突っ込まれたり、いろんな会話が飛び交っていて、皆、とても仲が良さそうだった。

誰かの携帯電話が鳴り、電話に出て会話をしている。周りが騒がしいので、声がだんだん大きくなる。電話の相手に騒がしい雰囲気を尋ねられたのか、遊びにおいでと誘っていた。

彼が、アルコールの入っていないシャンパンを手に、戻ってきた。

私にグラスを渡し、シャンパンを注ぐ。

よく冷えていて、とても美味しかった。