硝子の靴 ~夜帝の紅い薔薇~少女A~
「皆、仲が良いんだね」

「あぁコイツ等。面白いだろ?」

「うん」

「いい職場だね」

「そう?」

「雰囲気や仲が悪いと、大変だろうから」

「そうだねぇ。その心配はないね」

「なら、良かったね」

「まぁね。こっちの店はね」

「ん?」

「女の子のクラブの方が、色々」

「あぁ。そうなんだ」

「女は大変」

「お疲れ様です」

私は、小さく一礼しながら言った。

「ま、大丈夫だけどね、俺だから」

彼は、得意げな表情で微笑んだ。


『来ちゃったー』

女性達が、元気よく、お店に入ってきた。

何人、いや、何十人…二十人くらいだろうか。

『いらっしゃーい』

従業員の男性達が、明るく迎える。

「龍星さん!こんにちは!さっきですね、光くんに電話したら、パーティーやってるから、おいでって言われたんですー」

「そう。いらっしゃい」

『わぁーやったー』

女性達は、歓喜の声をあげる。

「あ、何のパーティーなんですか?」

「この子ための、お祝いパーティーさ」

彼は、私の肩に手を添えて、女性達に言った。

「そうなんですか。おめでとうございまーす」

「有難うございます」

私は、丁寧にお礼を言った。

「ゆっくり楽しんで」

「はーい」

彼が、微笑んで言うと、女性達は、元気良く返事をして、男性達の所へ駆け寄った。

「こっちこっち」

男性達が女性達に手招きする。

軽快な音楽の中、楽しそうな歓談が始まった。

「ごめんねぇ。これじゃ、コイツ等のただの騒ぎだねぇ」

「ううん。知らないお姉さん達にも、おめでとうって言ってもらえて嬉しい」

「そう?」

「うん」

「なら、良かった」

彼の頷きに、私は微笑む。

「彼女達は、キャバ嬢をやってる子達で、コイツ等の知り合いなんだ」

「キャバ嬢?」

「夜のお店、キャバクラで働いてる子」

「あぁ、なるほど。七海さんの従業員?」

「いや違う。他の店の子だよ」

「そうなんだ。仲が良いんだ」

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