硝子の靴 ~夜帝の紅い薔薇~少女A~
最上階へ向かう
エレベーターの中で、
私の携帯電話が鳴った。
「もしもし」
『お疲れ様です』
「どうした?」
『先程、儷美子様から、お電話がありまして、
今夜、
お店にいらっしゃるそうです』
「わかった」
電話は、涼からだった。
几帳面な彼は、
報告、連絡も速やかで、時間も正確なので、
来客時も、困らずに、
時間を計りやすい。
私は、
キャバレークラブ
『beauty』に
立ち寄ると、
花園の盛況を確認し、
そして、
ホストクラブ
『gentle』に
向かった。
店に入ると、店内は、
多くの女性のお客様で、賑わっていた。
店内の造りは、
入口を入ると、
少しのスペースがあり、三段ある階段を降りると、
お客様をもてなす
テーブルフロアと
なっている。
そして、一角には、
最上階からの夜景が見渡せる、
バーカウンターを
設けている。
私は、
入口を入ったスペースから、店内を見渡す。
店内の状況と、
まだ、儷美子様が
お見えでないのを
確認した。
「お疲れ様です。
まだ、いらしてません」
涼が、
私が来たのに気付き、
速やかに言う。
私は、頷くと、
とりあえず、
事務所へ行こうとした。
「あら。龍星じゃない」
お客様が、私に気付いて声をかけた。
私は、行きかけた足を
止めて、
すぐに振り返る。
ホテル業を営む、
女社長の東郷 寿枝子であった。
私は、階段を降りて、
会釈をする。
「いらっしゃいませ」
「今日は来てるの?
貴方がいるなんて、
珍しいじゃない?
貴方に会いに来ても、
いつも見ないから。
それとも、
私が来た時だけ、
いないのかしら?」
彼女は、そう言って、
口の端で笑う。
「寿枝子様が、
あまりに
お美しい方なので、
お会いすると、
緊張してしまうのです」
私は、
そっと頭を下げた。
「私の名前を、
覚えていたのねぇ」
「勿論です。
いつも、
光を御指名頂き、
有難うございます。
寿枝子様がいらっしゃらない日は、光は寂しげでして」
「あら」
彼女は、満足そうに
微笑みを浮かべた。
エレベーターの中で、
私の携帯電話が鳴った。
「もしもし」
『お疲れ様です』
「どうした?」
『先程、儷美子様から、お電話がありまして、
今夜、
お店にいらっしゃるそうです』
「わかった」
電話は、涼からだった。
几帳面な彼は、
報告、連絡も速やかで、時間も正確なので、
来客時も、困らずに、
時間を計りやすい。
私は、
キャバレークラブ
『beauty』に
立ち寄ると、
花園の盛況を確認し、
そして、
ホストクラブ
『gentle』に
向かった。
店に入ると、店内は、
多くの女性のお客様で、賑わっていた。
店内の造りは、
入口を入ると、
少しのスペースがあり、三段ある階段を降りると、
お客様をもてなす
テーブルフロアと
なっている。
そして、一角には、
最上階からの夜景が見渡せる、
バーカウンターを
設けている。
私は、
入口を入ったスペースから、店内を見渡す。
店内の状況と、
まだ、儷美子様が
お見えでないのを
確認した。
「お疲れ様です。
まだ、いらしてません」
涼が、
私が来たのに気付き、
速やかに言う。
私は、頷くと、
とりあえず、
事務所へ行こうとした。
「あら。龍星じゃない」
お客様が、私に気付いて声をかけた。
私は、行きかけた足を
止めて、
すぐに振り返る。
ホテル業を営む、
女社長の東郷 寿枝子であった。
私は、階段を降りて、
会釈をする。
「いらっしゃいませ」
「今日は来てるの?
貴方がいるなんて、
珍しいじゃない?
貴方に会いに来ても、
いつも見ないから。
それとも、
私が来た時だけ、
いないのかしら?」
彼女は、そう言って、
口の端で笑う。
「寿枝子様が、
あまりに
お美しい方なので、
お会いすると、
緊張してしまうのです」
私は、
そっと頭を下げた。
「私の名前を、
覚えていたのねぇ」
「勿論です。
いつも、
光を御指名頂き、
有難うございます。
寿枝子様がいらっしゃらない日は、光は寂しげでして」
「あら」
彼女は、満足そうに
微笑みを浮かべた。