硝子の靴 ～夜帝の紅い薔薇～少女Ａ～

午前零時


儷美子様がやってきた。


「いらっしゃいませ」
七海は、
彼女をエスコートする。

最上階からの眺めの素晴らしい、
角側のＶＩＰ席へと案内した。

儷美子は、
ゴージャスな出で立ちで優雅に腰を下ろす。

「元気だった？リュウ」

「はい」

七海は、儷美子の好きな赤ワインを注ぐ。

そんな七海を
見守る様に見つめる。

「あっそうだ」

突然に
儷美子は、思い出し笑いをした。

「どうしました」

七海は、不思議に思う。

「あなた、
少女を囲ってるの？」

「えぇ？
何ですか、それ」

冷静に
意味がわからないというふうに返答した七海に、
やっかみ女の
単なる噂だと察する。

「仔猫ちゃんたちがね、言ってたの。
あなたも大変ね。
あなた、独身なのに。
仔猫ちゃんの頭の中では、あなた、夫にされてるわよ、きっと」

「勘弁してください」
七海は、苦い笑みをする。

「モテる男はつらいわねぇ」

儷美子は、
満面の笑みをした。


そして、
二人は、
他愛もない話で
二人だけの心地よい雰囲気に酔いしれる。