硝子の靴 ~夜帝の紅い薔薇~少女A~
七海のビルに着き、
日和は、
十階最上階へとエレベーターを上がる。


最上階エントランスに着くと、
両側のクラブからは、
賑わいが聞こえていた。


― 七海さん、
まだかな ―


エントランスには人はいなく、
七海の姿もない。


― 忙しそう… ―


日和は、
エントランスのガラス張りの窓辺に立ち、
そこから見える
見渡す限りの夜の銀座の街並みを見下ろし、
眺めながら、
七海が来るのを待った。



「あら?
あんた…」


背後から女性の声がしたので、
日和は、徐に振り返った。


< 79 / 156 >

この作品をシェア

pagetop