硝子の靴 ~夜帝の紅い薔薇~少女A~
「なに、知らないの?」

黙りコクる日和を見て、
女性は高笑いした。


「あら~そう~


じゃあ、教えてあげるわよ。
本当は、口に出さないことだけど…」

そして、
日和に囁いた。




「儷美子さんはね、

龍星さんの初めての女(ひと)」




「…?………初め、て…」

日和は、呟く…


「え?意味わからない?」

「は…ぃ…」

「セックス」

「えっ、」

「お嬢ちゃまには、
刺激的な言葉だったかな?」


女性は、鼻で笑う。


日和は、黙りコクっていた…


「龍星さんを狙って、女たちは争う。酷い時には、血も見るわ」

「血っ!?」

「そうよ。

あんたの知らない世界でしょ?

そんな修羅場になっても、結局おさまるのは、儷美子さんの存在があるから。
儷美子さんには勝てないと思っているから。

あんたにはわからない世界よ。
あんたと私たちとはね、
住む世界が違うのよ。

私たちと龍星さんは同じ。
あんたは違うの。
だから、知らないことがあったでしょ?

これで、わかったかな?

悪いこと言わないから、
早く、龍星さんから離れて、無垢は無垢のままでいなさい。

あんたの身が危なくなる前に、ね?」


そう言って、
女性はほくそ笑み
振り返る。


そして、

歩きだし、

言葉を破棄捨てた。


「小娘が!」


女性の後ろ姿は遠くなり、
キャバレークラブへと入っていった…





日和は、

ひとり

呆然と佇む…
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