「さよなら」も言わずに。
「そっかぁ…。
そうだよね!うん、気にしない。」

「そ。それが1番。
慣れれば、普通に愛想よく話してくれるからさ。」

キーンコーンカーンコーン

チャイムが鳴り、6時間目の授業が終わった。

「ねぇ、雷霧。」

「愛、何???」

「最近坂木先輩と仲いいよね…、雷霧。」

愛から嫉妬されるのって、そんなに珍しいことじゃない。

前、愛が好きになった先輩の時も

その前の先輩の時も、嫉妬されたから。

「あぁ。浩介のいとこだから、何となく一緒に帰ってるだけ。
別に何かあるとかじゃないよ?」

「へぇ…。」

疑わしい目で私を見る愛。

半信半疑なのが、丸分かりだ。

「愛、雷霧の言ってること本当だから!
あんまお前も、雷霧に当んなよ?!」

浩介が、私と雷霧の間に入ってきて

愛の嫉妬を注意した。

ただそれだけ。

なのに…、私をかばってくれたって良い方に取っちゃって

胸の奥のほうが熱くなった。
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