「さよなら」も言わずに。
「浩介、雷霧のこと好きなの?」

シーンと静まり返った、この場の空気。

「は?」

「ちょ…、愛やめてよぉ!!!」

必死に2人で反対する。

「2人で否定すんのも、怪しいからぁ!
マジ付き合っちゃえば?」

何となく、いつもの愛じゃなかった。

嫉妬心がすごいって言うか…

私のことを睨んでいる愛は、普通じゃなかった。

「ちょっと…、マジ違うって!!!」

必死の否定。

でも、愛は信じてくれそうに無い。

「あぁ…、もういいよ。
ごめんねぇ。2人の邪魔しちゃって。」

それだけ残して、自分の席へと戻っていった。

「ハァ…。」

深いため息。

「愛、何言ってんだろな。マジ意味分かんねぇ…。
俺さぁ?雷霧は、友達だって思ってるし。
それ以上でもそれ以下でも無いし。」

友達。

友達以下でも、友達以上でも無い。

私も浩介のことを恋愛感情的に“好き”って

思ったこと無いんだけどさ…

ちょっとだけ、悲しかった。
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