「さよなら」も言わずに。
「それは、私もだから!浩介は友達。
それ以上にも見えないし、それ以下にも見えない。」

「だよな!」

本当はね?

違うんだよ…。

確かに友達なんだけど、

友達じゃないって言うか…。

友達以上、恋人未満。みたいな感じ。

浩介は…、

私にとっての家族みたいなもの。

「愛に勘違いされるとあれだから、
今日は1人で帰るね。」

さっきからずっと、愛が私を睨んでいるのが

よく分かる。

視線が少し痛くって、

少し私を腹出させた。

カバンに荷物をつめて、ダルそうに肩にかけながら

スタスタと教室を出た。

玄関を出た時、坂木先輩の姿が見えた。

「先輩?浩介なら、まだ教室ですよ???」

話しかけたんだけど、また知らん振り。

慣れられてないだけ。

ただ、それだけ。

気にしない、気にしない。

心の中で自分に言い聞かせた。
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