「さよなら」も言わずに。
『雷霧、ありがと。』

あ…。

メモ帳を見直した。

“雷霧”って書いてある。

私の名前が書いてある。

すごく嬉しく感じた。

「名前…。浩介から聞いたんだ?」

『浩介が、雷霧って呼んでたから。』

「あぁ!そっか。
あ…、先輩。名前は???」

『坂木尚人[サカキ ナオト]』

「尚人先輩?!」

『先輩つけんでいいよ!呼び捨てで。』

名前を教えてくれたことが嬉しくて

呼び捨てに呼んでいいって言われたのが

すごく嬉しくて

胸がすごく熱かった。

「ん。じゃ、尚人。
私こっちだからさ!またね。」

メモ帳とペンを受け取り、

カバンの中にしまって尚人を笑顔で見つめた。

小さく手を振ると、笑顔で振り替えしてくれた。
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