「さよなら」も言わずに。
「…はい。もしもし。」

小さな声で電話に出た。

イライラした気持ちが、まだ少し残っていたから。

「……。」

電話の相手は、私の声が聞こえなかったのか

返事をしてくれない。

「もしもし?」

イライラがまた私に迫って来る。

「………。」

相手はやっぱり、何も喋らない。

イラズラかな?

私のイライラはMAXに。

「もしもし?イラズラですか?!
迷惑なんですけど!!!」

強い口調で、そう言い放った時

電話の向こうで声がした。

「もしもし?雷霧か???」

聞きなれている声。

その声の持ち主は…

「浩介?」

「あぁ、うん。」

「何?どうかした???」

浩介が私に電話してくるなんて珍しいことで、

普段学校で喋っているから、

電話でわざわざ話すことなんて無いのに―

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