「さよなら」も言わずに。
「尚人がお前に会いたいってさ。
今から俺ん家来れる???」

尚人が、私に会いたい?!

半信半疑な、今の心境。

よく状況がつかめていなかったんだけど、

すでに返事は決まってた。

「分かったぁ!!!」

電話をすぐ切って、服を着替えた。

家着の、黒のスウェットで尚人に会えないもん。

少しだけオシャレをする。

クール系の今日のファッション。

黒のワンピースの下にジーパンを穿き、

ゴールドの大きいベルトをしめた。

お気に入りのシルバーのカバンを持って、

ショートブーツを履いて家を出た。

私の家から、浩介の家までは、

だいたい10分くらいの距離。

ちょっと小走りをしていた私は、

尚人に会いたいって思ってたみたい。

浩介の家のすぐ近くを走っていると、

玄関先で待っている尚人の姿が見えた。
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