「さよなら」も言わずに。
「雷霧、起きて!!!
8時になっちゃうよ!?」

朝っぱらから、うるさくお母さんの声が

家の中に響く。

「ん…。」

寝ぼけた頭と、ダルい体を

無理矢理叩き起こして学校に行く準備をする。

セーラー服に腕を通し、

手馴れた手つきで、スカートを折る。

膝下15センチが学校で決められた長さなのだけど

守ってる子なんて居ないし

短いほうが可愛いから…。なんて理由で

私は膝上10センチで履いていた。

ストレートで背中の中心ぐらいまである髪を

クシでといて、2つ結び。

全部準備し終えて、約15分。

7時55分。

学校の予鈴は、8時15分だし

本鈴は、8時20分だからまだ余裕。

朝食は食べない私。

準備をし終えると、すぐに家を出た。

本屋の角を曲がると、少し先に尚人の姿が見えた。
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