「さよなら」も言わずに。
私が教室に入った瞬間、

クラスみんなの目が私の方に向いた。

みんなが集まっている黒板の所へ行く。

目を疑った…。

『-雷霧-
ヤリマン女ぁ・藁
只今、浩介&坂木先輩に二股中w
誰にでも簡単に足開くからぁ
ヤりたい奴は頼んでみっっ・藁』

大きく、太い文字で

そう書いてあった。

白と赤と黄色のチョークで、

すごく目立つ文字で。

呆然と立っていると、

「最悪。」

「ヤリマンとか、キモイんだけど…。」

そんな女子達の声。

「俺頼んでみよっかな!?」

「経験人数何人なのか教えろよ!!!」

そんな男子達の声。

怒りとか、そんなのまだ感じられなかった。

苦しくて…

少しだけ悲しかった。

多分、これを書いたのは愛。

ただの嫉妬じゃなかったんだ…。

軽く考えていた私が間違っていたのかもしれない。
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