「さよなら」も言わずに。
「雷霧ぅ!」

「ん?愛どうしたぁ???」

授業と授業の間の10分休みの今。

教室は騒がしいのなんのって…。

「あんね、さっき坂木先輩に会ったのぉ!!!」

「あはは。つか、愛マジあれだよ?
先輩ばっか追っかけてないで、現実見なって!」

愛[アイ]。

いつもカッコイイ先輩を見つけて

はしゃいでる、私の友達。

「坂木先輩は、ウチの運命の人やからぁ!」

「はいはい。」

「てか、雷霧さぁ?彼氏出来たの???」

「ううん。」

彼氏…。

丁度2ヶ月前に別れたばっかり。

相手に浮気が原因なんだけど、

私も心変わりしてたから、素直に縁を切った。

「好きな人居る?」

好きな人…。

居たことは居た。

つい3週間くらい前までは。

だけど、その人に彼女が居るって知って諦めた。

それほど好きってわけでも無かったから。

「いない。」

「そんなんじゃダメだって!
女は恋してなんぼでしょ?」

愛の言っていること、よく分かるんだけど

現実、そんなに甘くないよ…。
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