「さよなら」も言わずに。
レンガの門。

ログハウスのような作り。

ディズニーの童話に出てきそうな、

そんな雰囲気のマンション。

「可愛い!!!
ヤバイ。めちゃ可愛い!」

1人で騒いでいると、呆れた顔をした尚人が

「おいで。」と手招きをしている。

「はぁい!」

ニコッて笑って、尚人のもとへと駆ける。

あ…、こんな感じいいな。

とっさに思った。

周りから見れば、カップルみたいに見えるのかな?

なぁんて、自意識過剰過ぎてるよね。

尚人の家は、2階。

ガチャってドアを開けると、綺麗な部屋が広がっている。

ワンルームマンション。

「尚人、親は???」

兄弟が居ないとしても、2人か3人家族なのは

絶対だもん…。

ワンルームなんて、ありえなくない?!

『ワンルームマンションってか、
俺の家だから。これ。マンションみたいに
つくってあるだけで普通に家。』

「そうなんだぁ!なんか、すごいね。」

液晶テレビの前に置いてある黒いソファーに座る。

大きいソファーだから、普通に座ると触れ合えない。

ソファーの中心に2人で座り、ニコッて笑いあう。

触れ合う、肩や腕や足がくすぐったくて

温かい気持ちになった。
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