「さよなら」も言わずに。
ピリリリリリ。

私の携帯が鳴った。

メールの受信を知らせる、受信音。

携帯を開くと、

未読のメールが2通。

1通目、愛から…。

『先輩と付き合ってんの?
もしそうなら、マジ許さないから!!!』

ドキッ―

どうしよう…、なんて焦りや不安。

2通目も愛から。

『マジで、アンタ何様のつもり?
坂木先輩のこと好きって言ったよね?ウチ。
仲良くしてんじゃねぇよ!!!
マジウザイ。』

私…、泣き虫だね。

また涙出てきちゃった。

尚人にバレないように、顔を両手で覆う。

でも―

尚人は、何でも分かっちゃうんだ。

私が握っていた携帯を取り上げて、

画面を険しい顔で見て、

私を抱きしめた。

力強く…、ギュッて。

「ごめんな。」って…

「大丈夫だよ。」って…

そう言ってくれてるような気がして、

胸が締め付けられる。

温かい。

携帯のボタンを押す、ピッピッて音が部屋に響く。

尚人―

私の変わりに、愛に返事返してるんだ。
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