「さよなら」も言わずに。
2人でずっと喋って。

2人で寄り添ってテレビを見て。

2人でお菓子をいっぱい食べて。

2人でジュースをいっぱい飲んだ。

すごく…

すごく短い時間に感じた。

幸せな時間って、やっぱり短いや。

気づくと、もう8時30分。

コンビニに行った時間から、

約2時間30分。

でも、私にとっては1分くらい…

1秒くらいに感じた。

―コンコンッ―

ドアをノックする音が聞こえた。

―ガチャ―

ドアの向こうに居たのは、

尚人の妹の香奈ちゃん。

「お兄ちゃん、お風呂入って来なよ。
彼女さんもぉ!!!」

また私をキッと睨み、尚人の隣に座った。

「お兄ちゃん、ポテチ食べたのぉ!?
ズルいよ!!!香奈ポテチ好きなのにぃ。
また今度買ってね?!」

尚人が携帯の画面を香奈ちゃんに見せる。

私とは反対側に座ってるから、

私に背を向けてる。

ズキッて胸が痛んだ。

「えぇ。
買ってくれてもいいじゃん。ケチ。」

2人の会話が何だか羨ましくて

香奈ちゃんに嫉妬心がわいてきて、

私はテレビに夢中なふりをした。

バカだね…、私。

香奈ちゃんは尚人の妹じゃん。

何嫉妬してんだろ…。

まだ小6の子で、お兄ちゃんに甘えたいだけなのに…。

何だか尚人を取られたような気がして

胸が痛かった。
< 48 / 57 >

この作品をシェア

pagetop