「さよなら」も言わずに。
「てかさ、愛。坂木先輩って、あの人?」

廊下で喋っていた私達の目の前を

涼しい顔して通り過ぎていく3年の先輩。

「そう!!!やっぱカッコイイわぁ…。」

「あぁ…、なるほどね。」

あんまり、先輩とかに興味無かったんだけど

愛が夢中になってるのも分かるなって思った。

「雷霧、坂木先輩はウチのやからね?
取らんでよ?!」

取るとか、取らないの前に

愛のじゃないじゃん…。

それに私、坂木って先輩のこと全然知らないし。

初めて見たんだし。

カッコイイって思っただけで、

好きとか無いし。

心の中で、愚痴のような言葉を吐く。

「取らないって!大丈夫。」

ピースをして、愛に向けると

愛は笑顔で私に答えた。
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