「さよなら」も言わずに。
「どう?
これでも、お兄ちゃんと付き合っていける?」
「……。」
言葉が出てこない。
「大丈夫だよ、そんなの。」って
言えるはずだったのにな…。
返事、出来ない。
「うん。」って言えてない自分が居る。
「お兄ちゃんさ、今まで傷ついてきてんの。
付き合ってきた人、障害のこと知って
みんな離れていった。
もう辛い思いさせたくないの。」
お兄ちゃん思いの子なんだね、香奈ちゃん。
私の頭の中、真っ白だった。
―ガチャ―
ドアの開く音が、ハッキリと
鮮明に聞こえた。
何も言わずに、部屋に帰ってきた尚人。
何も言わないのは、障害で喋れないから―
分かってると、分かってるなりに
苦しいんだね…、やっぱり。
いつも通りにお兄ちゃんと話してる香奈ちゃん。
1人だけ、俯いて
床とにらめっこしてる私。
空気が重く感じたのは、きっと私だけなんだね。
これでも、お兄ちゃんと付き合っていける?」
「……。」
言葉が出てこない。
「大丈夫だよ、そんなの。」って
言えるはずだったのにな…。
返事、出来ない。
「うん。」って言えてない自分が居る。
「お兄ちゃんさ、今まで傷ついてきてんの。
付き合ってきた人、障害のこと知って
みんな離れていった。
もう辛い思いさせたくないの。」
お兄ちゃん思いの子なんだね、香奈ちゃん。
私の頭の中、真っ白だった。
―ガチャ―
ドアの開く音が、ハッキリと
鮮明に聞こえた。
何も言わずに、部屋に帰ってきた尚人。
何も言わないのは、障害で喋れないから―
分かってると、分かってるなりに
苦しいんだね…、やっぱり。
いつも通りにお兄ちゃんと話してる香奈ちゃん。
1人だけ、俯いて
床とにらめっこしてる私。
空気が重く感じたのは、きっと私だけなんだね。