「さよなら」も言わずに。
「あれ?お前、知ってんの?
これ、俺のいとこ。」

「嘘ぉ!?」

驚きっぱなしの私をよそに、

スタスタと歩き出す2人。

小走りで追いかけて、2人の後を歩く。

2人の間に会話は無い。

「ねぇ、浩介。」

「ん?」

「いとこって本当???」

「あぁ、うん。つか、お前驚きすぎだから!」

戸惑う私と、平然な顔をした浩介。

私と浩介は、くだらない話をずっとして

ゆっくり歩いて帰った。

坂木先輩は、ずっと黙ったまま。

相変わらず涼しい顔をして、スタスタと歩いている。

「…じゃ、俺等こっちだから。」

本屋さんの隣の交差点で、お別れ。

「じゃぁね。」

浩介に手を振る。

「先輩、さよなら。」

坂木先輩に軽く頭を下げる。


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