愛の道は生きる道
そんな中、フクちゃんは、個性を見出すことすら許されず、光のバックで踊ったり、舞台に出ることしかできていないんだ。


・・・ルルル・・・ルルル・・・
呼び出し音を聞く。

わたしは、思わずフクちゃんに電話してしまっていた。

・・・なんでだろう。

勝手に手が動いてしまったんだ。


「もしもし?」
「えっ、愛名さん?」

「うん。夜遅くごめんね」
「いや、自宅だから別にいいけど、何?」

突然の電話にフクちゃんもびっくりしているようだ。

そりゃ、そうだよね。

いきなり、一度ヘアメイクさせてもらっただけど、アシスタントのわたしが電話してきたんだもん。

フクちゃんの声を聞いて、わたしは後悔の気持ちでいっぱいになった。


「・・・ごめん。急に電話なんかして。ごめんなさい」

わたしの口から出るのは「ごめんなさい」ばかり。



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