愛の道は生きる道
「やっぱさ、愛名さんにヘアメイクしてもらわないと、俺の個性は光らないんだよ。俺、このままでいいのかなあ」

急に深刻な声を出すフクちゃん。

「きっと事務所だって、何かの考えがあって、フクちゃんのイメージ作ってくれてるんでしょ?わたしはあんまりわからないけど…」

「社長が言うには、個性が強くない方が万人受けするからって方向らしいけど。メンバーがどんどん仕事もらっていくのに、自分だけ仕事がないって、結構凹むんだぜ」

うん。
わかるよ。
フクちゃんの気持ち。

わたしも、美容学校出身の同期の子がどんどん独り立ちしていくのに、ずっとアシスタントだもん。
おいていかれて、焦ってる。


「わたしは、今のフクちゃんでも、十分輝いていると思うよ。デビュー目指して、がんばってよ。わたし、サンライズのファンになるからさ」

わたしなんかが、応援したところで、どうにもならないかっ。


「ありがとう。愛名さんにそう言ってもらえて」

フクちゃんはそう言ってくれた。



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