愛の道は生きる道
劇場入口でチケットを見せると、なにやら奥からスーツを着たスタッフがやってきた。

「ご案内します」

えっ?

案内してくれるの?

この待遇は、なに?

そんなにすごいの?

関係者席って?


ボロボロの服装で、荒い息をしているわたしを不思議そうに見つめながらも、スタッフはわたしを誘導してくれる。


暗くなった劇場内では、すでに白熱した舞台が始まっている。

スタッフは足元をペンライトで照らしながら、わたしを席まで案内してくれた。


「どうぞ。こちらです」
「ありがとうございます」


暗がりの中、案内された場所には、一つだけぽつんと空いている席がある。

わたしの席だ。

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