愛の道は生きる道
どうしよう。
声、かけちゃおうかな。

だって、今しかないんだよ。
そんなチャンス。

でも、メガネかけてるから、今はプライベートなんだよな。
そんな時に声かけたら、まずいよな。

光に悪いよな。


光に声をかけようか、ずっと迷っているうちに前半が終わり、休憩時間になる。

ミュージカルのストーリーは、全くわからないまま、ミーヤがどこに出ていたのか全くわからないまま、電気がつき、会場が明るくなる。


「あれ?」

さっきまで隣にいた光は、いつの間にかいなくなっていた。


「うそ?」

いつの間にっ?!


わたし、夢でも見てたのかしら。


きょろきょろと周りを見渡しても、光の姿はなく、たくさんのお客さんの声の話が耳に入ってくるだけだった…。



会いたいと思うと会えなくて、

あなたのことを思っていないときに限って、

あなたは現れるんだね。

はあ…。

わたしは深いため息をついて、光が座っていた座席にそっと手を置いてみた。

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