愛の道は生きる道
「なんで、明日仕事なの?」
「ううん、オフ」

「じゃあ、いいじゃん」
「いいじゃんって、わたし帰らないと、電車が…」

言葉とは裏腹に、ちょっとうれしかったんだ。
また、フクちゃんに会えるんだって思ったら。

だって、今さっき、わたし、光に会ったんだもん。
フクちゃんのおかげなんだもん。


「大丈夫って、始発まで付き合うから。ミーヤにも連絡入れたし。で、新宿の東口わかる?」
「うっ、うん」

「じゃあ着いたら、電話して。あっ、お疲れ様デース」
フクちゃんの後ろで、なにやら声がする。
さっき仕事終わりって言ってたよね。きっと仕事先の人なんだろうな。

「わかった」
わたしはフクちゃんに迷惑がかかるのを感じて、即答して電話を切った。


よし。
誰にもフクちゃんと話していたことは、ばれていないな。

まるで使命感にかられたように、周囲を見渡す。


でも、冷静になって考えると、周りの人の誰が、わたしとフクちゃんが友達だと気づくだろうか…。


< 142 / 247 >

この作品をシェア

pagetop