愛の道は生きる道
「オレも、光くんみたいになりてーな」

ようやく顔から手を離したわたしは、フクちゃんを見つめた。


後輩からも慕われている光のこと、知れてうれしかった。


「光くんに会えてよかったね」

「うん」
今度ばかりは、素直にうなずく。


「でも、光くんは光くんだからね」

遠くを見るようなフクちゃんの瞳。



光くんは光くんだから―――

そう、光はどこまでいっても、スーパーアイドル黒川光なんだ。

5万人のドームを満席にするほどの、わたしなんかじゃ手の届かない、遥か彼方で光っている光なんだ・・・。


「おっ!」
「あっ!」
エントランスに突然響いた携帯の着信音は、光の楽曲だった。


聞こえてきたのは、わたしの携帯じゃなくて・・・
それはフクちゃんの携帯からだった。

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