愛の道は生きる道
「お疲れ様でした」

スタジオを一番最後に出て、わたしはキャリーカートを引きながら、駅に向かう。


東にあった太陽が、西の方へ傾いていた。

♪~♪~
携帯の着信音が鳴り、その場に立ち止まる。


「フクちゃん!!」

カートから手を離し、わたしは急いで受話ボタンを押した。


「はい、今池です」

「愛名さん。俺、福太です」

久しぶりに聞いたフクちゃんの声は、なんだか今まで聞いたことのない人の声のように感じた。


「お久しぶりだね」

「ああ、今、いい?」


「今、仕事帰り。これから家に帰るの」

「そう、どの辺にいんの?」
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