愛の道は生きる道
翌日、事務所には、ほとんどのスタッフが集まり、いつにない緊張感と不安感に包まれていた。

スタッフでも、一番の古株の藤ヶ丘さんが部屋に入ってきても、そのざわつきは収まらない。


「どうなるんだろうね」
「うん、心配だね」

小声で同期に話しかけられ、わたしはもっと不安になった。



「藤ヶ丘さん。事務所が倒産したって、本当なんですか」

誰かが叫んだ。


「社長と連絡が取れないんですが、どうなってるんですか」

次々と藤ヶ丘さんに質問が飛ぶ。


「みんな、落ち着いてよ」

あくまでも、藤ヶ丘さんは冷静だった。

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