愛の道は生きる道
「すみません。IDカードお願いします」

扉のところで警備員に声をかけられる。


IDカード・・・

・・・もっていない


「あの、わたし、テクノアートの今池と申します。本日と明日、原瑞希さんのアシスタントとして参りました。IDカードはもっていないんですが」

「申し訳ありません。IDカードの無い方は、お通しできません」

まるで機械のように感情のこもっていない声。


光の声が、音楽が聞こえているのに、わたしは、その先へは進めない。



リハ見れないんだ・・・。
あとで、瑞希さんにIDカードもらおう。

仕方なく、今来た道へ歩き出す。



IDカード。


わたしと光を引き離したのは、たった一枚のカードだった。

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