愛の道は生きる道
「それで、どんなスタイルにしたいんですか?わたしは、アシスタントなので、できないスタイルもあります」

わたしは正直に自分の実力を打ちあけた。


「ワイルドなカンジで」

えっ、アバウトすぎるなあ。
フクちゃんの顔立ちでワイルドって…。
似合うのか?


「いつもさらさら前髪がおりてるから、まずは、こうズバッと上げて、それを何か止めてよ。で、バーっとボリューム出して、いつもと違うワイルドってカンジで」

うーん。
擬音語だらけでイメージがわかない。


「他のやつらは、自分で結構スタイルできるんですよ。でも、俺、不器用だから、結局シャワー後、乾かしていつも同じみたいな」



少しでもフクちゃんのイメージに近づけるように努力しよう。
せっかく、わたしを頼ってきてくれたんだから。


わたしは後ろから手を伸ばし、フクちゃんの前髪を上げた。

「こうですか?」


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