正反対恋愛【完結】

すると、翔太君の周りにいた一人の男の子があたしに声を掛けてきた。


「ねぇ、それってチョコだよね?誰に渡そうとしてたの?」


「え………」



翔太君に渡しにきたなんて、今さら言えるはずない。


踏まれて潰れてしまったチョコなんか渡せないよ。


あたしは形の崩れてしまった包みを両手でギュッと抱きしめて俯いた。



でも、何も答えずにいるあたしに男の子の質問は容赦なく続く。


「それ、翔太にあげようとしてたんじゃないの?
……翔太早く貰ってやれよ!」


「……お前やめろよ」


ニヤニヤとした表情で、あたしと翔太君が困る姿を楽しんでいる男であろう男の子。


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