正反対恋愛【完結】
第八章 届かぬ想い
「佐奈、帰るぞ?」


「あ、うん!!」


放課後、銀が教室の扉から顔を出しあたしを呼んだ。


その瞬間、辺りがザワザワと騒がしくなる。


「鈴木さんと銀くんって…どういう関係?」


「付き合ったりしてるわけではないでしょ?銀くんって誰にでも優しいし」


あまり喋ったことのないクラスメイト達が口々に好き勝手なことを言い始める。


あたしと銀は友達だよ。


それ以上でも……以下でもないはず。


そう考えると胸がチクリと痛み、その痛みから逃れるようにあたしは教科書を鞄に詰め込んで立ち上がった。

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