正反対恋愛【完結】
「佐奈、銀くんに嫌われてないじゃん」


会話を横で聞いていた真理子はニヤリと笑いながら肘であたしの脇腹を突いた。


「あたしも……よく分かんない」


それが正直な本音だった。


銀がなんであたしに話し掛けてきたのか。


なんで放課後体育館裏に呼び出したのか。


『なんで』という疑問が多すぎて頭が混乱する。


でも、唇に残っている銀の指の感触を思い出すと『なんで』という言葉すらすぐに頭から飛んでいった。


そして、パーンッという乾いた音の後クラス対抗リレーが幕を開けた。
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