正反対恋愛【完結】
二限の化学。


先生がインフルエンザで欠席したため、急遽実習になった。


「化学室にプリントあるんだって。誰が取りに行く?」


あぁ……。


こういう面倒くさい役回りはあたしに回ってくるんだよなぁ。


みんな目で訴えかけてくるんだよね。


『早く取ってこい』って。


でも「嫌だ」と言えないんだから仕方ない。



「……あたしが行きます」


いつものように手を挙げると、


「俺も一緒に行く」


「……え?」


影であたしのことを『空気女』と呼んでいた斉藤君が、自ら率先して手を挙げた。

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