正反対恋愛【完結】
夕飯を銀と済ませたあたしはすぐさまお風呂に入り、ウキウキした気持ちで部屋に飛び込んだ。


毎週楽しみにしているテレビドラマを見るためだ。


主人公の冴えない女の子が華麗な変貌を遂げ、お目当てのイケメン男子のハートを射止めようと奮闘する学園ラブストーリー。


その主人公を自分に、イケメン男子を銀に当てはめてドラマを見ることが一週間に一度の楽しみだった。


恋愛ドラマお決まりの様々なトラブルが続き、お互いの気持ちは交わっているのはずなのにすれ違ってしまう二人。


あ~……もう、じれったい!


どうしてそうなるのぉ……!


「早くくっついてよぉ……」


テレビ画面を見つめブツブツと文句を言いながら主人公と同じように時に喜び、時に泣き、時に怒る。


あたしはドラマの主人公になりきり、テレビの液晶画面を瞬きをする間も惜しんでかじりつくように見つめた。


「ハァ……来週は意地悪なライバル登場か……。やだなぁ……」


冴えない主人公とイケメン男子の恋が実れば、きっとあたしも銀と……


「なんて、ありえないよね」


そんな勝手な妄想ばかりが膨らみ、あたしは首をブンブンと横に振りテレビを消した。

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