君のとなり。
「・・・・・ってのは建て前でぇ♪」
山ちゃんがいつもの顔で笑って言った。
「・・・・・・え??」
オレが思わずヌけた声を出すと、
山ちゃんはニッと笑った。
「俺は生徒の恋は応援するの☆」
「・・・・はぁっ!?どこが!!」
祐人が言うと、山ちゃんはプンッとした。
「うるせぇなぁ。今回はお前らの責任。
堂々とサボるから、ほかの生徒達も
やんないよう罰受けてますよって、
やんなきゃなんだよ」
「・・ぅ・・っ」
山ちゃんの正論に、オレは口ごもる。
「最低限のことを守れ。以上」
山ちゃんがオレを指さして言った。
「・・それだけ・・?」
すると、山ちゃんはめんどくさそうにした。
「あ~?平たく言えば、
別に校内でキスしてもセッ」
「わあああああああああ!!!!!」
祐人が慌てて遮った。
教師が生徒に何言ったんだよ!!
「・・ま、人・相手に迷惑かけないなら、
いいっつってんの。おわかり?」
「・・・はい・・・」
祐人が悔しげに言うと、山ちゃんは笑った。
・・少しだけ見直してしまったことが、
悔しい気もした。
「青春なんて、楽しんでナンボ、だ」
そう言って本棚を整理する先生の後ろ姿を
見つめて、オレはぼんやり思った。
・・・この人、オレと同じ様な歳に、
何かあったんだ・・。
この人をあれだけ優しく笑わせる、
色褪せない記憶の中には。
一体誰がいるんだろう・・?