君のとなり。

「・・・へぇ・・?」

祐人は声を絞り出した。


  ━・・声、震えてないか・・?

    表情、普通か・・・?

「・・そ、それだけ・・っ」

明日香は小さく言った。


「・・あっそ、じゃぁオレもう行くわ。
 起こしてくれてサンキュー」

立ち去る祐人に、明日香は祐人の
ジャージの端をキュッと握った。

「・・・・っあ・・」
「・・・何だよ」


・・・引き止めないで、ほしかった。

今のオレは、明日香を傷つけてしまう。

感情が、言う事を聞かないんだ・・・。


明日香はパッとジャージを離した。



「・・あの・・っ、私・・・
  どーすればいいと思う・・?」



      「━・・!」


その時、オレの鼓動がドクッと高鳴った。

「・・えっと、私、
 伊東君のことよく知らないから・・っ」


・・・なんでオレに聞くんだよ・・!?


「祐人はよく一緒にいるから・・」


  ・・だから・・・オレ・・?


「知ってるかなって・・・」


    英介と仲が良かったら、
 ・・・・・誰にでも、そう聞くの?


「・・・っ!!」


  ━・・あ。・・・・ダメだ。



     ダンッ!!



「っ!・・・祐人・・?」

「・・・・・」

祐人は明日香を壁に押し付けて、
静かに見つめた。


 ・・感情が、コントロールできない・・


< 33 / 108 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop