君のとなり。


  『・・・勝手にすれば・・』


何かをうったえる祐人の目 


冷たい言葉とは裏腹に、熱かった唇 


「・・・・っ」

授業が始まっても、私は
首筋を気にしていた。

・・なんで、キス・・なんてしたの?


首筋に触れて、タメ息をはいた。


━・・気付いてしまった。

伊東君への気持ちは、‘憧れ”だと。

祐人への気持ちが・・・・



     恋ってヤツだと



「・・・・・・」

黒板を見ながら、ノートに
適当な私の文字が並んでいく。


・・・今更気付いても、遅いのに。

さんざん祐人と口ゲンカしたり、

伊東君を褒めまくったり。


・・・・拒絶、されたり・・・。


「・・・・ぁ」


また涙が出そうになって、私は
慌てて真奈美のタオルに顔をうずめた。


 『伊東君の事、よく知らないから』


・・・・・ウソつき。


本当は、祐人に何か言ってほしくて
出たとっさのウソ。


そんな淡い期待は、拒絶された。

でも、当たり前だよ・・・。


さんざん伊東君って言っといて、今更。


    ムシが良すぎる。


「・・・・・」

声を殺して、私は泣いていた。

祐人からしたら、意味がわからないよ。

カルい女だって、思った?
ふざけんなって、嫌いになった・・・?


・・・・そう、思っただろうな。

まだ今も、祐人は私を拒絶してる。


だって、隣の席は、まだ・・・・




     カラっぽなんだよ。

   


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