君のとなり。


「・・スイマセーン。遅れましたぁ」


授業時間、残り5分の時、
制服姿で祐人が戻ってきた。

「・・・っ!」

明日香の肩がビクッと震えた。

・・・・・戻ってきた・・・!!

「田中!今まで何やってたんだ!!」

英語の先生は厳しめの人で、
さっそく怒鳴られている。


「いやぁ、体育の後気分悪くなってぇ。
 ボクって病弱だからァ」


ヘラッと笑う祐人に、男子から
「嘘つけー!」とツッコミが飛ぶ。


「っもういい!席につけ」

「は~い」



  ドクンッと私の鼓動が高鳴った。



・・・・・祐人が・・・来るっ!!



胸の高鳴りが激しくて、
目をギュッときつく閉じた。




     ガタン・・・ッ




祐人は、私なんか見ずに席についた。



・・・何を、期待してたんだろう。


また、視界が滲んだ。


っ、バカみたいだ・・。


真奈美のタオルに顔をうずめた。


真奈美の香りがして、少し安心する。


祐人はもう、私なんて見てないのにね。


そして、静かにチャイムが響いた。

「よし、今日は終わりだ。・・・あぁ」


    こんな時に限って、
   悪運は回ってくるもので。

「田中祐人と・・・ついでに
 田中明日香!学級委員2人。この
 資料を探して職員室に持って来て
 くれないか?・・・もちろん、
   

      2人で」




  ・・先生は爆弾を投下した。

 
 

  

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