君のとなり。

    「「・・・・・」」


職員室って、こんな遠かったかな・・
あたりまえだけど、祐人は無言だし。

明日香はうつむいて涙をこらえた。


「・・・しつれいしまーす・・」


祐人の後ろにつづき、職員室の中へ。


「お、来たか。この資料を
 資料室までお願いできるか?」

「はい・・」
「は~い」

返事をして、資料を受け取る。


・・・ぅわ、重い・・・っ


明日香が大きな資料を持って
よたよたしていると、


    「・・・・かせよ」


「・・・あ・・」

祐人がひょいっと持った。
そしてそのままスタスタと歩いて行く。


「ぁありがとう・・っ!」


パタパタと小走りに走って、
祐人の隣で言った。


「べつに」


祐人は明日香を見ずに言った。


「・・・・・・」


やっぱり、顔も見てくれない。



・・・・じゃあ、どうして?


どうして、優しくするのさ・・



明日香は資料で顔を隠した。


     『かせよ』


祐人にとっては、何気ない言葉と仕草。


でも、私にとっては死ぬ程嬉しいって。


    知らないでしょ・・・・?



祐人はまた歩調を速め、明日香の前を行く。


「・・・・・・っ」


    その顔は、とても赤かった



「・・・・・あれ、明日香ちゃんに祐人!」


「・・・・!」
「あ・・・」

その声に、明日香と祐人は敏感に振り向いた。


       「・・伊東君・・」


名前を呼ばれて、英介はほほえんだ。










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