君のとなり。

「・・・あ、ごめんなさい!」

いきなり泣き出した私を、伊東君は
心配そうに見つめていた。

「・・目に・・ゴミが入っちゃって」

私がニコッと笑うと、
伊東君は困ったように笑った。

「・・・そう?
 なら、いいんだけど・・」

「うん!じゃ、真奈美が待ってるから」


そう言って、明日香は走って行った。


英介は明日香に笑って手を
振っていたが、その笑顔がフッと消えた。


「・・・・丁度いいかな。
 俺も、行くとこあるしね・・」


小さくつぶやいて、英介は
資料室の方向へ歩きだした。





・・・・私、ちゃんと笑ってた・・?


明日香は走るのをやめ、歩きだした。


・・あ、また泣きそうだ・・・。


じわりと滲んだ涙をブレザーで
ゴシゴシとふいた。


「・・・・・」

その時、ふと窓の外を見た。







   「!!!!!!」






屋上から、真奈美らしき人影が
双眼鏡ごしにこっちを見ていた。


明日香の怪訝な視線に気づくと、
グッ☆と親指をたて、合図。


・・・・・真奈美だ・・・!!!!



明日香はあきれたが、少しだけ、



    本当の笑顔で笑ってみせた。
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