社長と恋



楽しい時間は早く過ぎる。
玄関へ向かう時、無償に寂しくなる。


『じゃ…』


「あぁ。
…そんな寂しそうな顔すんなら泊まってけばいいのに。」


『だって着替えないし…』


「なら、明日持って来いよ。」


………泊まる、って事はつまり――――――


「まだ手出したりしねぇから安心しろ。」


まだ!?
まだって何!


『わ、分かってる。』


プイッと回れ右をすると、ドアにトン‥と腕が伸びてきた。
背後から気配を感じるのに、あたしは後ろを向けずに固まったままだ。


< 203 / 371 >

この作品をシェア

pagetop