社長と恋



あの時は、死にもの狂いだった。
早く山崎の所に行って安心させてやりたかった。
泣いてるかと思ったらたまらなかった。


………友達だから?


「俺を走らせるなんて、さすが山崎だな。」


『秋元さんは優しいから、あたしじゃなくたって助けてくれるでしょ?』


笑ってそう言った山崎。


山崎じゃなかったら――……


ふ、と笑って山崎の手を握って会社に戻った。


「送ってく。」


『…すみません。』


なんだかいつもより素直な山崎を感じながら、心地いい心臓の音を聞いた。


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