社長と恋
苦手な女。
慣れない手つきでネクタイをキュッと縛ると、鏡で自分の姿を見た。
真っ黒なタキシードを身に纏った自分は相当似合わない。
ちゃんとタキシードを着たのはいつぶりだろうか。
バスルームから出て、山崎の姿を探した。
真っ白なベッドに真っ白な服で座っていた山崎はちょっと怖い。
「待たせた。」
山崎はこちらを見ると、タキシード…と言った。
「一応な。」
『こっち来て。』
「は?」
『早く。』
山崎は真顔で俺を呼んだ。
不思議に思いながら近寄ると、ネクタイを掴んだ。